dermatology report
東京動物アレルギーセンター
ペットの腸内細菌について
当院では、腸内環境の重要性についてお話させていただく機会が多いのですが、「腸内フローラとか腸内細菌とかよく耳にするけど、そんなに大切なの?」とよくご質問をいただきます。
はじめに
腸内細菌のバランスの崩れと肥満、糖尿病、大腸がん、アトピー、炎症性腸疾患など多くの病気が密接な関係を持つこともわかっており(Belizário JE. 2018)、腸内細菌のバランスを整えることはとても重要です
腸内細菌の種類
腸内細菌の種類はヒトで500~1,000種類、約1000兆個(約60兆個と言われる細胞数の160倍)の微生物が腸管内に寄生しており、その寄生微生物が私たちの心身に多大なる影響を与えていることがわかってきました。犬の腸内細菌も同様にほぼ同じくらいの数と種類があると言われています。
腸内細菌は、善玉菌(良い働きをする細菌)と悪玉菌(悪い働きをする菌)、そのどちらでもない菌(時には良い働きををして、時には悪い働きをする細菌)の3グループで構成されています。
風邪を引いたりして抗生物質を飲めば、悪玉菌と一緒に善玉菌も攻撃され、腸内細菌のバランスは大きく変動することがこれまで明らかになっています(Stefka AT. 2014)。
善玉菌の役割
健康的なペットの腸内細菌は、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が優勢です。
善玉菌は食物繊維、オリゴ糖、ムチンなどが含まれるご飯を摂取すると酢酸、酪酸、プロピオン酸という物質を作ります。
実はこれらの酸性物質が非常で、私たちがヨーグルトを飲んだり、乳酸菌サプリメントを飲む理由の1つが、まさに善玉菌が作り出したこれらの物質を腸から取り入れるためです。
これらの物質により腸内を酸性化することによって、悪玉菌の増殖を抑えることができ、その結果、腸の運動を活発になると、便秘の改善、アレルギーの抑制、肥満の防止など健康維持に大きく貢献することが明らかになりました。
善玉菌を増やすためには?
ペットもヒトと同じように腸内にビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が占める割合を増やすことが重要ですが、腸内の善玉菌の割合を増やす方法には、大きく分けて2通りあります。
まず1つめは、健康に有用な作用をもたらす善玉菌である「プロバイオティクス」を直接摂取する方法です。ヒトがヨーグルトや乳酸菌飲料、納豆や漬物などを摂取するようにペットも乳酸菌やビフィズス菌配合のサプリメントを摂取することは有用です。
ただ、どの菌が良いか?という大きな課題があることも現時点では事実です。ところが、その”ブラックボックス”に宝物が隠れていることも間違いないです。
2つめは、腸内にもともと存在する善玉菌を増やす作用のある「プレバイオティクス」を摂取する方法です。
野菜類・果物類・豆類などに多く含まれている食物繊維、オリゴ糖、ムチンは、消化・吸収されることなく大腸まで達し、腸内にもともと存在する善玉菌の「エサ」となります。
つまり、善玉菌のエサとなる食物繊維やケストースを十分にとって、腸内細菌がモリモリとエサを食べれる状態を作る事が重要です。
腸内細菌を確認するためには?
腸内細菌が健康的な好ましい状態であるかどうかを知るもっとも簡単な方法は、便を観察することです。
善玉菌がたくさん「酸」を作っていると匂いがあっても臭くなく、形状は柔らかいバナナ状が理想です。
ペットのおなかの中に共存している腸内細菌がどうしたら喜ぶか?を考えることはペットが健康で長生きすることに繋がります。
東京動物アレルギーセンターでも、腸内細菌をどう改善すればアレルギーの改善につながるかを日々追求しています。
アレルギーでお悩みの方がいらっしゃったら是非一度ご相談下さい。
東京動物アレルギーセンター
https://taac.jp