dermatology disease
東京動物アレルギーセンター
はじめに
甲状腺機能低下症とは甲状腺に異常が起こり、甲状腺ホルモンの分泌が低下する病気です。
まず、甲状腺は喉のあたりに位置し、犬の代謝や活動性を上昇させる甲状腺ホルモンを分泌する働きがあります。
この甲状腺ホルモンという物質は脳(下垂体)から出されるホルモンが甲状腺を刺激することで分泌されます。
この甲状腺が萎縮したり、機能に異常が生じたりすることにより甲状腺ホルモンの分泌がおかしくなります。
甲状腺機能低下症の症状
甲状腺機能低下症では、名前の通り甲状腺ホルモンの分泌が低下するので、元気がなくなったり、ご飯の量が変わらないのにも関わらず、体重の増加が見られることがあります。
甲状腺機能低下症は高齢によくみられるといわれており、特に以下の症状が見られます。
・元気がない
・すぐに疲れる
・食べる量は変わらないのに太る
・脱毛
・痙攣
など
皮膚の症状では脱毛などがよくみられます。
また、免疫の低下により、膿皮症にもかかりやすくなり、治療が長引くこともあります。
再発を繰り返す膿皮症には甲状腺機能低下症が隠れている可能性を否定しなければなりません。
神経症状では、けいれんなどの発作や旋回などの症状が現れ、跛行が見られることもあります。
甲状腺機能低下症の原因
甲状腺機能低下症の原因は甲状腺自体の構造的もしくは機能的な異常がほとんどです。
甲状腺自体の異常では主にリンパ球性甲状腺炎や特発性甲状腺萎縮、ステロイドの長期投与、下垂体の腫瘍などが挙げられます。
甲状腺腫瘍や甲状腺癌などが原因の甲状腺機能低下症の場合は外科手術や抗がん剤治療などが用いられます。
甲状腺機能低下症の検査
甲状腺機能低下症の検査は以下の検査により診断します。血液検査では貧血や高脂血症などが認められることもあります。また、甲状腺ホルモン(T4、fT4)やTSH(甲状腺刺激ホルモン)なども測定します。超音波検査では甲状腺の大きさを確認します。
甲状腺機能低下症の治療
甲状腺機能低下症を予防する方法はなく、発見が遅れた場合、急死してしまうこともあります。
そのため、定期的な健診により甲状腺ホルモンを計測することを推奨しており、高齢になったら最低でも年に1回のチェックを推奨しています。
甲状腺機能低下症の治療では、甲状腺ホルモンを投薬します。
甲状腺ホルモンの投薬により元気、体重の回復、脱毛の改善がみられてきます。
甲状腺ホルモンの投薬を続けた後に、再度血中甲状腺ホルモン濃度を測定し、正常値内であれば、薬の量を斬減し、投薬を続けます。甲状腺ホルモン濃度の測定と薬の量を調整により、治療をコントロールしていきます。
東京動物アレルギーセンターでは、難治性皮膚炎のセカンドオピニオンを受け付けています。
甲状腺機能低下症が原因の脱毛に加え、そのほかの皮膚病が隠されていることもあります。
お悩みの方は是非一度ご相談下さい。
東京動物アレルギーセンター
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